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2017-09-19 00:00:00
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毎日通る道の、枝の葉の先が少し枯れ始め、「秋だなぁ」と感じたことはありませんか?

季節の移ろいを、もの言わぬ草木が、私たちに感じさせてくれるのです。

 

以前、お稽古でこんなことがありました。

 

「ひとり3本です」と声をかけると、

生徒さんたちはつぎつぎに枝を選び、持って行きました。

そして、最後にひとり分、3本だけが残りました。

 

他の生徒さんたちが選び取り終わるのをじっと待っていた生徒さんが、

さいごに残ったものを手に取りました。

茶色く枯れはじめている葉、ところどころ破けていたり。

残ったのはそんな枝でした。

それはみんなに選ばれなかった「のこりもの」かもしれません。

ですが、茶色くなった葉は、夏の終わりを感じさせ、

破けている葉は、風雨にも負けずに生きてきた月日を感じさせました。

 

長く学んでいるその生徒さんは、そのことをよく知っていて、

その枝から季節を感じたのでしょう。

いけあがった作品は、秋の風情が生かされ、

その葉が生きてきた風景が心に浮かぶようでした。

 

「どんな花であっても、それがそのとき一度きりの出会い」

私の師匠のことばです。

草木はいきものですから、まったく同じものはありません。

みずみずしさのあふれる色も、うつくしくならぶ葉も、

その虫食いも、その枯れ方も、もう二度と出会うことのないものです。

 

秋にはそんな出会いがたくさんあります。

みなさんも、草木との一期一会を、たのしんでみませんか?